FTA (故障の木解析) のやり方と特徴

FTA

 

FTA 故障の木解析とは

FTA (Fault Tree Analysis)は製品の信頼性を保証するために用いられるツールのひとつで,
フォルトツリー解析・故障の木解析とも呼ばれます.
FTAは1960年代に米国のベル研究所のH・A・ワトソンのグループが考案して以来,
信頼性の解析に幅広く使用されてきました.

FTAはトップの事象(特定の故障)からその原因となる事象をAND, ORの論理記号を利用して展開していき,
木の枝のようなFT図(Fault Tree Diagram)を作ります.

さらにFT図に各事象の故障率を割り当てていくことで, 定量的に故障の発生頻度の分析を行うことが出来ます.

故障の木解析

 

ボトムアップ的手法とトップダウン的手法

ボトムアップ的手法とトップダウン的手法があり
FTAは特定の故障から, 原因を追究し展開していくトップダウン的手法になります.

トップダウンとボトムアップ

FTAと同じく信頼性向上に使用されるFMEA(故障モード影響解析)では,
FTAとはアプローチの仕方が逆でボトムアップ的手法の解析を行います.
FMEAについては別記事で説明しています.

FMEA(故障モード影響解析)のやり方と特徴

 

FT図の作成

FT図はOR, ANDなどの論理記号を組み合わせて作成されます.
FT図


事象:
個々の事象を表します. 通常は故障事象など望ましくない事象を対象とします.
ORゲート
:入力事象のうち, いずれかひとつが発生したときに出力事象が発生します(論理和).
ANDゲート: すべての入力事象が共存するときのみ出力事象が発生します(論理積).
基本事象:これ以上は展開されない基本的な事象を示し, 常に論理ゲートの入力になります.

FT図作成の手順ではまず, トップの事象(故障)に対して, それを引き起こす1次要因を列挙します.
次に得られた要因と事象の因果関係を整理し, ORゲート・ANDゲートなどの論理記号で結び付けます.
この作業を繰り返し, 更にもうこれ以上分解できないレベルの要因まで展開します.

基本事象の発生確率を求めることが出来ない場合は定性的な解析を行います.
基本事象の発生確率が分かっている場合, 発生確率をFT図に割付け, 論理記号に従いトップ事象の発生確率を計算します.