工程能力指数Cp・Cpkの求め方, 工程性能指数Pp・Ppkとは?

2019年3月15日

工程能力指数と工程性能指数

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工程能力とは

工程能力とは, 対象とする工程が定められた規格の中で, どれだけ均一にばらつきを少なく製品を生産することができるかを示す指標です. 均一な製品を作ることができる工程は, 工程能力があると表現します.

正規分布の場合±3σの中に全データの99.7%が入るため, 通常6σを基準に工程能力を表します.
この値と定められた規格値の幅とを比較したものが工程能力指数(Process Capability)です.

工程能力指数は一般にCpの記号で表されます.
工程能力指数を示す記号としてPCI(Process Capability Index)が用いられる場合もあります.

工程能力指数を用いることで, 対象の工程でどの程度規格を満足することができるかを数値で表すことができます.
工程能力指数を求めるときには, 工程は統計的管理状態でなければなりません.
(工程が不安定で統計的管理状態にない場合は, 工程性能指数Pp・Ppkを使います)

工程能力指数の求め方

両側規格の場合

上限値と下限値の両方が規格で決まっている場合, 工程能力指数の算出には下の両側規格の場合の式を用います.

Cp

 

 

両側規格の場合, 規格の上限値 – 規格の下限値で規格幅を出し, それを標準偏差の6倍で割ります.
工程能力指数Cpが1のときは, 平均値±3σの位置に規格の上下限が位置します.

両側規格で平均値に偏りがある場合

両側規格の場合でも下の図のように平均値が規格の中心から大きくずれている(偏りがある)場合があります.


このような場合Cpでは正しい工程能力を評価できないため, 偏りを考慮した工程能力指数Cpkを求めて判断します.

Cpk

 

 

 

Cpkは平均値に近い方の規格値から平均値を引いたものの絶対値を標準偏差の3倍で割ることで算出できます.
(Cpkの算出に片側規格の式を用いて上限・下限それぞれに対するCpを求め, 小さい値を選択する方法でも同じ値になります)

片側規格の場合

規格が下限(上限)のみしか規定されていない場合もあります.
その場合は平均値から規格までの幅と標準偏差の3倍を比較します.

工程能力指数ー片側規格
片側規格の場合の工程能力指数Cpを式で表すとこのようになります.

①上限規格の場合
Cp上限規格側

 

 

②下限規格の場合
Cp下限規格側

 

 

工程能力指数の判断基準

工程能力指数を求めたらその数値から工程がどのような状態なのかを判断します.
一般的な工程能力指数の判断基準とそれに対する処置は以下のようになっています.

工程能力指数の判断基準

 

一般の製造業では工程能力は1.33から1.67が適していると言われています.
高い工程能力を維持し管理するためには, それだけ厳しい管理が必要になりコストが増加します.
1.67以上の高い工程能力がある場合は, 部品のばらつきが少し大きくなっても規格外れは出ないため,
管理の簡素化やコスト低減を考える余地があります.

工程能力指数Cpが1のときは規格値と平均値±3σが同じところにあります.
正規分布では±3σ内に入る確率は99.73%であるため, Cp=1の場合, 0.27%の割合で不良が発生します.
Cpが1の工程の1000個の製品があるとしたらおよそ3個は規格外れになるということです.

3シグマに入る確率

一般には工程能力指数は1.33以上が理想とされていますが,
自動車業界などの一部の部品では製品の不良率をppm(100万分の1)オーダーで管理しています.
そのため1.6ppmのCp=1.6を目指す場合なども少なくありません.
この規格外れ発生確率を百分率で表すと0.00016%となり非常に小さい値であることが分かります.
下図に工程能力指数と規格外れの確率の相関を示します.

▼工程能力指数Cpと規格外れの発生確率との相関

工程能力指数と規格外れの確率の相関

工程性能指数Pp/Ppkとは

工程能力指数Cpを求めるときには, 工程は統計的管理状態でなければならないということを最初に述べました.
統計的管理状態というのは, 管理図が偶然原因(すべて標準通りに行っても発生する許容できるばらつき)のみでばらついている状態です. 工程が不安定で統計的管理状態にない場合, 工程に何か異常が起こった際ののばらつき(特殊原因によるばらつき)が含まれている場合は工程性能指数Pp(Process Performance Index)を使います.
工程性能指数Ppでは読み取ったすべての管理値(特殊原因によるものも含めて)から標準偏差を求めて算出します.
工程が安定状態にあることが明らかな場合には工程能力指数Cp/Cpkを用い,
工程が安定状態にあるかどうかわからない場合には工程性能指数Pp/Ppkを用います.