見やすい円グラフ作成のポイント~Excelのグラフは編集してから使おう~
見やすい円グラフの作成
Excelに数値を入力してグラフタブで作ったグラフはそのままだと見栄えがいまひとつです.
そのまま使うといかにもExcelで作りましたというグラフが出来てしまいます.
Excelも2016など最近のバージョンだとグラフ配色も改善されてきていますが,
会社のExcelなどはまだ2010が現役だったりするのでしばしばステレオタイプのExcelグラフを見ることもあります.
▲NG例のグラフ:特に意味のない立体感やグラデーションを使うとグラフが煩雑な印象になってしまいます.
上のグラフの主な問題
- グラフに不要な立体感がある
- 配色が派手すぎる・色数が多すぎる
- 凡例が見にくい
- フォントがあまりよくない
これらはExcelの[データ系列の書式設定]から手動で設定・変更できます.
自分でデータを確認する用途などではまったく問題ありませんが, プレゼンテーション発表や
上司やクライアントに熱意を持って資料を見せたいとき, 人に見せて伝える必要があるときは見栄えも気になりますよね.
そこで今回はExcelで作ったグラフを一工夫して, より分かりやすく見ていて心地よいグラフにする方法を紹介します.
Excel初期設定で円グラフを作ってみた
例としてExcelの初期設定で円グラフを作りました.
元となるデータは総務省統計局の調査結果を使います.
出典: 経済センサス‐活動調査結果(総務省統計局), 総務省統計局(2010)「なるほど統計学園」, [online]www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~baba/wais/pagerank.html(参照2018-9-4).
Excel2010の初期設定円グラフ
Excel2010の初期設定で平成24年の県別のチーズの出荷額, 上位5位までとその他の割合を表してます.
Excel2010の初期設定で円グラフを作りましたが, 色が多くてちょっと見にくいですね.
凡例があるけれども文字も小さいので今一つ情報が頭に入ってきません.
Excel2016の初期設定円グラフ
Excel2016の初期設定で平成24年の県別のチーズの出荷額, 上位5位までとその他の割合を表してます.
古いバージョンと比べると, Excel2016ではデフォルトで少し配色が変わり白い境界線が入るようです.
フォントもExcel2016では游ゴシックが初期設定になっているのでMS Pゴシックだった過去のバージョンよりいくらか読みやすくなっていますね .
ただこのグラフだと
“神奈川県がチーズ出荷額のナンバー1であり, 酪農で有名な北海道はチーズの出荷額では2位である”
という私が伝えたかったことは一目では一切伝わらないですね.
凡例とグラフを照らし合わせなければならないのでちょっとしたストレスも生じます.
ここからが本題です.
“神奈川県がチーズ出荷額のナンバー1である”ということを伝える目的でグラフを作り直します.
円グラフ作成時のポイント~シンプルに, 伝えたいことを明確に
円グラフ作成時のポイントはできるだけシンプルにかつ伝えたいことを明確にすることです.
ポイントとして以下の項目が挙げられます.
- 各項目名は, 凡例をつけるのではなく, 円内に直接書き込むと直感的に理解しやすくなる.
- フォントを読みやすいものに変える(和文フォントはメイリオ, 欧文フォントはSegoe UIなどがおすすめ)
- 凡例を円グラフの中に入れる際に背景色にたいして読みやすい文字色を選ぶ(濃い色の背景色に対しては黒い文字でなく白い文字を使う)
- 数値が重要な場合は項目名と一緒に数値も入れる.
- このとき数字に対して単位だけフォントサイズを小さくすると見やすいレイアウトになる.
- 円グラフは要素ごとの色と色が互いに接しあうので, 似た色同士や相性が悪い色同士で境目が分かりにくくなる場合がある. この場合は各項目に白い枠線をつける.
- 伝えるのが目的の場合, 特定の重要項目のみ強調して他の項目をグレー系統の色でまとめたほうが分かりやすくなる.
以上の点を意識してグラフを修正します.
[データ要素の書式設定]で要素を塗り分けるにレ点を入れ, 塗りつぶし(単色)で要素の色を変更していきます.
カラフルな円グラフは煩雑になってしまうので要素の重要なところだけ強調しています. 色に関してはベースカラー, メインカラー, アクセントカラーと3種類くらいにまとめるときれいにまとまります.
直感的に神奈川県と北海道で全体の50%以上を占めているなど, パッと見で情報が入ってきます.
1位が神奈川県というのもこれならグラフだけで分かりますね.
ところで余談になりますが, グラフを書くための題材に選んだのはチーズの出荷額ですが, チーズの原料である牛乳の生産量から言えば北海道が一番のような印象があるのになぜ神奈川県が一番なのでしょうか?
気になったので調べてみたところ, チーズの出荷額の集計には原料から作られたナチュラルチーズとその加工品であるプロセスチーズの両方を含んでいるそうです.
神奈川県の横浜港では古くから海外からナチュラルチーズを輸入しており, 輸送コストなどの面から港から近いところにプロセスチーズの生産工場が多くできたためチーズ出荷額が非常に多いそうです. そういわれると3位に兵庫県が入っているのは神戸港があるからと妙に納得できますね.