MECEとロジックツリー ~論理的に選択肢を検討する~
MECEとは
MECE(ミーシーもしくはミッシー)とは
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの頭の文字をとって略したもので,
直訳すると”お互いに重複せず,全体に漏れがない”という訳になります.
簡単に言うとMECEとは”モレなくダブりなく”という意味です.
MECE自体はフレームワークというよりも, 何かを分類し整理する際の考え方です.
ロジカルシンキングの基本とされる概念です.
”モレなくダブりなく”とはどういう状態か
ダブりが存在すると, 後から重複した部分を探す手間が出来てしまい,
非常に大きな労力を要すことになってしまいます.
効率を良くするためにも最初からダブりのない分類をしたいですね.
そのために, このMECEの考え方が重要になってくるのです.
モレなくダブりなくという状態がどのような状態か例で見てみましょう.
例えば, 下の図で
◆Aを車を持っている人
◆Bを車を持っていない人
◆Cを免許を持っている人
とします.
車を持っているか持っていない以外の状態は存在しないためAとBで分類した場合はMECEとなります.(図左端)
一方, 車を持っている人(A)だけで分類してしまうとBの持っていない人はモレてしまいます.(図中央)
Cの免許を持っている人を分類に加えてしまうと,
車は持っていない(B)けれども免許はある人(ペーパードライバー)と,
車は持っていて(A)免許もある人がいるため分類に重複する人が出てきます.
これがダブりがある状態です.(図右端)
下で説明するロジックツリーでは, MECEを使うことで最適な解決策を選択する際に効率的に考えることができます.
また, MECEを使うことで何かを説明する際に, 要素をモレなくダブりなく洗い出していることで,
系統立てて考えやすくなり,それを元にスムーズなコミュニケーションをとることができます.
MECEはコミュニケーションを円滑にするツールとして使えるのです.
ロジックツリーとは
ロジックツリーとは, ある1つの要素から何層にも構成要素を掘り下げて説明するためのフレームワークです.
1つの要素から別の結論まで掘り下げるアプローチはロジカルシンキングでは演繹法と呼ばれます.
網羅的にアイデアを出して最適な案を選択する際に便利なのがこのロジックツリーです.
その切り口によってさまざまなツリーがあります.
Howツリー
課題などに対して”どうやって”という切り口で取り得る選択肢に分解していく方法です.
モレなくダブりなく選択肢を出していくことが大事になります.
Whyツリー
Whyツリーは問題の原因を分析するときに使います.
その問題はなぜ生じるのかという問いを繰り返しながら分類を進める方法です.
特性要因図と同様にテーマを”なぜ(Why)”で展開しモレなくダブりなく要因や理由を挙げていきます.
実際にロジックツリーを使って網羅的にアイデア出しをするときなどは, モレなくダブりなく出していくことが大事になります.
考えられる限りの選択肢の中から, ベストなアイデアを選んで 望ましい問題解決をする際に,
モレがあると最良の選択肢が得られない可能性があります.
選択肢にダブりがあればそれを消去していく余計な時間がかかってしまいます.
合理的な選択をするのにMECEの考え方は重要なのです.
MECEの注意点
ここまでMECEの重要性を書き連ねてきましたが, MECEだからといってすべての分類に意味があるとは限りません.
MECEの考え方で重要なのはあくまで分類の軸・切り口なのです.
切り口を考える上でのポイントは4つあります.
1 要素分解
全体像を捉え, それを構成している要素を挙げていく方法です.
3C分析やマーケティングの4P, SWOT分析など
2 時系列・ステップ分け
対象を時系列や段階に分けていく方法です.
バリューチェーンや製品ライフサイクル, AIDMAなど
3 対照概念
対照となる概念を挙げていく方法です.
因果関係における対立や,定性的か定量的かといったことも含まれます.
4 因数分解
分析したい対象を計算式で表し, それぞれの要素に分解していく方法です.
例:売上=顧客単価 × 顧客数 × 購入頻度
どの切り口で考えるかが優れたアイデア出しのためには非常に重要になります.
MECEもロジックツリーも結果を出すためのツールであり, それを使うことは目的ではありません.
しかしながらビジネスパーソンとしてこのMECEに考える習慣は,論理的思考に基づき,
体系的にものごとを考えるうえでも非常に強力な武器になります.
是非この機会にMECEの基本を身に着けておきましょう.