バスタブ曲線とは?~設備の故障と時間の関係~
バスタブ曲線とは
多くの部品から構成される機械や設備では, その故障率は時間の経過とともに変化していきます.
縦軸にその機械の故障率, 横軸に時間の経過を表したものは下図のような曲線になり,
この曲線は寿命特性曲線と呼ばれています.
この曲線の形が浴槽(バスタブ)に似ていることから, バスタブ曲線ともいいます.
この曲線の各故障期間によって保全の適切な仕方が変わってくるため, それぞれに適した方法をとることが重要になります.
この記事では各故障時期ごとに必要な故障対策の例も紹介します.
初期故障期
この曲線を, 新しい設備を導入したところから時系列順(図左側)に見ていくと,
新設備導入直後の初めの部分に故障率が高い部分があります.
これは設計ミスや製造による不具合(潜在的な欠陥)や,
操作に不慣れなことで起こる操作ミスなどによって故障率が高くなるためです.
これらの故障は, 一般的には修理や修正によって時間の経過とともに解決され減少していく傾向にあります.
この時間の経過により故障率が低下していく期間を初期故障期といいます.
このときの曲線の形は故障率減少型(DFR : Decreasing Failure Rate)と呼ばれます.
この時期はできるだけ早期に欠陥に対処し, 故障率を下げる必要があります.
具体的な対策としては, 運転員の技術の向上や正しい運転方法の教育, 不具合箇所の早期発見のための保全員の集中,
メーカーとユーザー間での故障についての情報交換などがあります.
偶発故障期
初期故障期で故障率が下がってくると, 次に故障率が長期間一定に安定する期間が続きます.
この期間のことを偶発故障期といいます. 故障率一定型(CFR: Constant Failure Rate)とも呼ばれます.
この偶発故障期では, 設備の故障率が最も低く, 稼働が安定します. この長さを有用寿命(有効寿命)ともいいます.
この時期の故障の多くは事故などによりランダムに発生するものです.
設備の保全の中ではこの偶発故障期をいかに長くするかが重要になります.
この時期の故障の多くは事故や操作ミスなどランダムに発生するものなので事前予測が非常に困難です.
そのためこの時期は日常保全, 事後保全, 適正運転の徹底などが中心になります.
摩耗故障期
偶発故障期の後には, 設備を構成している部品の寿命が来て再び故障率が上昇する時期が来ます.
この期間は摩耗故障期と呼ばれます. 故障率増加型(IFR : Increasing Failure Rate)ともいいます.
この摩耗故障期の早期に異常を発見し適切な修復を行うことで, 摩耗故障期を先に引き延ばすことができます.
物理的な摩耗や老朽化によって, 故障が集中的に発生するため,
保全の体制としては 部品の摩耗や劣化度合いを定期的に点検し, 部品の寿命が来る前に部品を交換し,
故障の未然防止を図る必要があります. この時期は特に予防保全や予知保全体制の確率が重要です.
保全員の点検能力の向上や, 予備品等の在庫管理, 運転員と保全員の連絡の緊密化などが必要です.