品質管理用語:TQCとTQMとは

TQCとTQM
ここでは品質管理に関する用語 TQCとTQMについて紹介します.

 

 

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TQC (Total Quality Control)とは

TQCとはTotal Quality Controlの略で, 総合的品質管理と呼ばれています.

TQCは1960年頃から導入され, 日本製品の品質向上に貢献してきました.
TQCの代表例としてQCサークル活動等が展開されてきました.

TQCでは, 顧客に満足される品質の製品を作るためには,
全社的な取り組みが必要であるという考え方が元になっており,
企業全体に適用して品質レベルの向上を目指すものです.

JISでは以下のように定義されています.

品質管理を効果的に実施するためには, 市場の調査, 研究・開発・製品の企画, 設計, 生産準備, 購買・外注, 製造, 検査, 販売及びアフターサービス並びに財務, 人事, 教育など企業活動の全段階にわたり経営者を始め管理者, 監督者, 作業者などの企業の全員の参加と協力が必要である. このようにして実施される品質管理を全社的品質管理(company-wide quality control, 略してCWQC) ,または総合的品質管理(total quality control, 略してTQC) という.

つまりTQCは, 製造や検査といった部門に限らず,
企業全体のあらゆる部門が参加する品質管理ということになります.

 

TQM (Total Quality Management)とは

TQMは経営管理手法のひとつとされており,
Total Quality Managementの略です.

TQCが現場の品質管理活動に主眼を置いていたボトムアップ的取組みであるのに対し, TQMは全社的な品質管理を行う経営・マネジメントに主眼が置かれています.

1996年には日本科学技術連連盟 (日科技連) がTQCという言葉をより普遍的に使える表現であるTQMへと変更しました. 

TQMの枠組みは, 基本的には従来のTQCの概念・方法論を継承するものとされており,  TQCで培われてきたQCサークル活動等は, TQMに於いても引き続き構成要素と位置付けられています.

 

TQCからTQMへ

1990年代に入ると, QCサークルを代表とするボトムアップが基本になっているTQCは, 急激な経営環境の変化に戦略的に対応するのが困難であるということが指摘され始め, TQCを更に発展させたTQMが日本企業の多くに浸透し始めました.

この時代の背景として, 1987年にISO9000が制定され, 欧州を中心として進められたことがあります.

同時期に日本ではTQCを中心とした独自の品質管理・保証システムを有していました.

欧州企業でISO9000シリーズが採用され始めると,
取引の障害になることが懸念され1990年代に入ると日本国内でも急速にISO9000シリーズ適用への関心が高まりました.

ISO9000シリーズは, 企業が構築した品質マネジメントシステムが規格の要求事項に適合していれば, 一定の品質が保証された製品が製造されるという基本的な考え方の上に成り立っており, 審査登録機関が審査・認証を行うものです.

これらを取得することを取引の条件とする企業が増えてきたことで, 日本国内の企業もISO9000取得へ急激に舵を切るようになりました.

このISO9000シリーズの規格要求事項を満たすためには, TQCだけではカバーが困難であったことから, TQC以上に経営全般の質を向上させるという意味合いの強いTQMへの移行が進んだと考えられています.