パレートの法則 (80対20の法則)とロングテール
パレートの法則
様々なものごとでは, 全体の80%以上を上位20%の要素だけで占めているということが頻繁に発生します.
イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートは, 社会の所得分配の研究を統計データに基づき行う中で,
社会全体の所得の多くは一部の高額所得者が保有しているということを明らかにしました.
2割の高額所得者の元に社会全体の8割の富が集中しているということが分かったのです.
これはパレートの法則と呼ばれ, 80対20の法則とも呼ばれます.
この法則は所得配分だけではなく様々な物事に当てはまるとされており,
販売管理や顧客管理で重点を絞る場合など多様なビジネスのシーンで使用されています.
パレート図の例
実際に例を挙げて全体の80%を上位20%以内の要素が占めるパレート図を見てみましょう.
下の円グラフは都道府県別のチーズの出荷額を表したものです.
ランキング上位は神奈川, 北海道, 兵庫, 長野, 千葉…となっていますが,
1位の神奈川から4位の長野までの合計だけで全体の88%を占めており, 80%を超えています.
別の言い方をすると, 47都道府県のうちの4つ = 8.5% だけで全国のチーズ出荷額の88%が占められてるということになります.
出典: 経済センサス‐活動調査結果(総務省統計局), 総務省統計局(2010)「なるほど統計学園」, [online]www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/~baba/wais/pagerank.html(参照2018-9-6).
このように実際にパレート図を作るとピタリと80対20にはなりません(例の場合は極端に上位の占有率が高いですね).
パレートの法則の押さえておくべき重要な部分は”上位の少数派が大勢を占める”という経験則です.
この法則を利用すると,上位20%の少数の要素に対してリソースを集中するなどで効率化を図ることができます.
※ちなみにパレート図は販売管理などに用いる場合は上図のように表すことが多いですが, 品質管理(QC)で用いられるパレート図は累積比率の折れ線グラフの最初の点が棒グラフの右肩に来るように打点するのが良いとされていますので下図のようなグラフが良く用いられます. (QCのパレート図については別記事で紹介しています.)
ロングテール ~パレートの法則に従わないもの~
パレートの法則は多くの自然現象・経済活動で見られますが, この法則に従わないものがあります.
インターネット上でのネット販売などでは, 売れ筋以外の下位80%のニッチな商品をコツコツと販売することで,
大きな売り上げを上げることができます.
これを可能にしているのは, 店舗スペースが限られていないなどのネット販売ならではの特徴です.
このように売れ筋以外の部分をかき集めて大きな売り上げを上げる戦略をロングテールといいます.
物理的制約の少ないネット販売ではロングテール戦略でニッチな商品も扱い,
実際の店舗ではパレートの法則に従い売れ筋に資源を集中するなど,
ケースによって適切な使い方をすることが重要になります.