アローダイアグラム (PERT図)
アローダイアグラムとは
アローダイアグラムとは日程計画を表すために矢線を用いたネットワーク図で,
PERT (Program Evaluation and Review Technique)と呼ばれる日程計画・管理のネットワーク技法で使用されます.
品質管理分野では新QC7つ道具のひとつに数えられていますが,
アローダイアグラムは効率の良いプロジェクト管理をするためにも有効であるため品質管理に限らず幅広く利用されます.
アローダイアグラムは主に大規模プロジェクトや部品数の多い製品開発・設計などの日程管理・計画に使用されています.
日程管理で使用する場合, ガントチャートと併用する場合もあります.
アローダイアグラムでは, 作業の最適な日程計画を作り,
全体スケジュールへ最も影響する工程(日程に最も余裕のないルート:クリティカルパス)を明らかにすることができます.
全体のスケジュールの完了期間はクリティカルパスによって決まってしまうため,
クリティカルパスに含まれる作業に重点的にリソースを配置するなどして全体スケジュールの遅延を防ぐ必要があります.
アローダイアグラムで使用する用語と図の見方
図の左側(①)が全体スケジュールのスタート, 右側(⑥)がゴール側です.
アローダイアグラムでは作業を矢印→で表します. 矢印の始点が作業開始,
矢印の終点が作業の終了を表します.
作業と作業の結合点(作業の終了時点と次の作業の開始時点)は○で表します.
所要時間ゼロで, 単に作業の順序関係を示す場合はダミーの破線矢印で表します.
矢印に付いている数字は各作業の所要日数です.上図の例では①→②の工程で5日を要します.
結合点の上にある二つの数字は, 上段が最も早く開始できる日数(最早結合点日程)で,
下段はある結合点が遅くとも開始しなければならない日数(最遅結合点日程)です.
この最早結合点日程と最遅結合点日程が等しくなる経路のことをクリティカルパスといいます.
下の図では太線の部分が該当します.
このクリティカルパスでは1日も余裕がないため,
この部分が万が一少しでも遅れが生じてしまうと全体のスケジュールに影響してしまいます.
アローダイアグラム作成の手順
手順1 始点から終点まで必要な作業を列挙し, 作業名を記載した作業カードを作成する
手順2 作業実施の順に作業カードを左から右に並べる
手順3 作業カードの前後に結合点(○)を書き, 結合点と結合点を矢印でつなぐ
手順4 結合点に番号を記入する
手順5 各作業の所要日数を見積もる
手順6 最早結合点日程を計算する
手順7 最遅結合点日程を計算する
手順8 余裕時間を計算する
手順10 クリティカルパスを表示する
最早結合点日程の計算
アローダイアグラムを作成する際に最早結合点日程と最遅結合点日程を算出します.
ここではその具体的なやり方を説明します.
最早結合点日程は作業を最も早く開始できる日数なので作業に分岐がなければ矢印(作業)の日数を足し合わせたものになります.
しかしながら下図の④の部分のように3つの作業が完了しないと次の作業に着手できない場合などは, それぞれの経路でかかる日数を求め, その中で最も日数のかかるものが最早結合点日程となります.
下の例では④の最早結合点日程の候補は, ②から入ってくる矢印の経路が5日+6日で11日, ①からの経路が5日, ③からの経路が4日+0日で4日必要となっているので, 最も早く3つの作業が完了するためには11日必要(=最早結合点日程)ということになります.
最遅結合点日程の計算
最遅結合点日程の算出は, 最早結合点日程の出し方とは逆に,
最終の結合点から作業日数を引いていくことで求められます.
最終の結合点では, 最早結合点日程と最遅結合点日程が同じになるため,
そこから最遅結合点日程(下段)を記入します.
④結合点のように分岐がある場合は④から出ている2つの矢印の経路のうち,
必要な作業日数を引いたときに一番小さいものを選びます.⑥に向かう経路では24日-10日=14日, ⑤に向かう経路では16日-5日=11日となり, 小さい11日の方が最遅結合点日程となります.